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ポーランドは人口ボーナスなの?

2020/11/09
 
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人口ボーナスや人口オーナスという言葉を聞いたことがありますか?これらは、人口の増減が経済に与える影響を表すキーワードです。


人口ボーナスとは、総人口に対して働く人の割合が上昇している状態のことで、一般的に消費活動や税収が増えることで国の経済が回りやすくなります。逆に人口オーナスとは、総人口に対して働く人の割合が減少している状態のとこで、人口構成が負担となって経済成長を妨げている状態のことです。



人口構成を見ることで、その国の将来がある程度予測できることから、マクロ経済などでよく出てくるキーワードです。今回は人口ボーナスの観点から日本とポーランドとその他のいくつかの国で比較してみましょう。


人口ボーナス指数の定義

人口ボーナスを示すグラフとして、人口ピラミッドがあります。高校の頃に地理専攻だった人には馴染み深いグラフだと思います。でも、人口ピラミッドは人口構成が極端な国以外は、客観的な判断が難しいというデメリットがあります。なので、今回は人口ボーナスの指標として、より分かりやすい以下の計算式を使うことにします。

人口ボーナス指数 = 生産年齢人口 / 従属人口

生産年齢人口とは、働いている人が多い年齢の人口のことで、ここでは15~64歳とします。従属人口とは、働いていない人が多い年齢の人口のことで、ここでは0~14歳と65歳以上の人口の合計とします。データのソースは、国連が出している人口動態が良くまとまっているので、こちらを使います。

人口ボーナス指数の比較

では早速見ていきましょう。

6カ国を対象とした人口ボーナス指数

表は、日本、ポーランド、米国、中国、インド、ドイツの6カ国を対象に人口ボーナス指数を表しています。2019年時点のデータなので、2020年以降は予測値です。一般的に人口というものは、予測がしやすいデータと言えます。すべての人は毎年1歳ずつ歳を取るからです。なので、戦争などの大きな要因がない限り、ある程度予測値に近い推移をすると考えられます。ここでは、人口ボーナス指数が200%を超えた状態を、人口ボーナス期と定義します。


まずは日本を見てみましょう。1964年から2004年までの40年間は人口ボーナス期でした。これは、団塊の世代の影響が大きそうです。高度経済成長も人口ボーナスに支えられたところも大きいでしょう。その後2000年代頃からは急激に高齢化が進んでおり、現在は人口オーナス独走状態です。国連の予測によると2050年頃には100%付近で飽和してしまうようです。人口ボーナス指数が200%から100%に減るということはどういうことでしょうか。200%のときは、2人で働いて1人を養っていけばよかったのですが、100%に減ると1人が働いて1人を養っていかなくてはなりません。1人あたりの労働者にかかる負担は2倍に増えるということなのです。


次に、中国を見てみましょう。日本からはかなり遅れて、1994年から人口ボーナス期に突入しています。中国では1979年から一人っ子政策が始まっていますが、まさにその15年後から人口ボーナスが始まっています。そして、2010年には驚異の274%の人口ボーナスを記録しています。2010年以降は下落していますが、2030年頃までは人口ボーナス状態が続きそうです。


インドはどうでしょう。2018年から始まった人口ボーナス期は、なんと今後40年に渡って続いていきそうです。人口ボーナスの視点で考えると、次の40年でインドは大きく伸びてきそうです。


さて、ではポーランドはどうでしょうか?実はここ20年近くは人口ボーナス状態なのです。資本主義の導入とともに一気経済成長できたのは、この人口ボーナスに支えられた部分も大きのではないでしょうか。しかし、ここ10年で一気に少子高齢化が進み、今年には人口ボーナス期も終わってしまいそうです。そして、およそ25年後には今日の日本と同程度まで少子高齢化が進んでしまいそうです。あと、ポーランドで気になるのは、2060年頃に日本に迫る勢いで高齢化が進んでしまうことです。


人口ボーナス指数(生産年齢延長)の比較

さて、ここまで見てきて、人口ボーナス指数と経済成長の相関関係が体感できたかと思います。未来予想を見ると、日本を筆頭に先進国は苦しい戦いを強いられそうです。
ここで、少し違うアプローチをしてみましょう。これまで、生産年齢を15~64歳としてきました。でも、65歳以上でも現役バリバリの人だって多くいます。私の両親はちょうど65歳ですが、あと10年くらいは働きそうな勢いです。実際、2022年からは年金を75歳まで繰り下げ受給できるようになります。仮に生産年齢を15~74歳として、同じグラフを描いてみると、どうなるでしょうか。

6カ国を対象とした人口ボーナス指数(生産年齢延長)


この場合、なんと日本ですら2045年頃まで人口ボーナス期が続くことになります。政府が65歳以上を働かせたい理由が見えてきますね。ニュースを見ていると、現役の年齢がどんどん上がっているので、私達はいつまで経っても引退できないような感覚に陥りがちですが、このグラフを見ると75歳までが働いてくれたら十分そうに見えます。90歳とかまで働かされるようなことは無さそうに見えます。


まとめ

  • 日本は人口オーナス独走状態で、40年後には1人で1人を養わないといけない。
  • 中国の人口ボーナスは2030年くらいまでは続きそう。
  • インドの人口ボーナスは2055年辺りまで続きそう。
  • ポーランドの人口ボーナスは今年終わりそう。
  • 日本では引退年齢がどんどん上がっているが、データを見る限り75歳あたりで止まりそう。(シンギュラリティーが来ない限り)


参考資料

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Comment

  1. snow より:

    ポーランドは若い人が西ヨーロッパに移住するせいで人口減少が深刻でウクライナなどから移民を受け入れてるみたいですね

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