ポーランドの不動産投資③投資先としてのヴロツワフ
ポーランドの不動産投資についてリサーチして、連載しています。
連載3回目の今回は、投資先の街に注目してみようと思います。不動産投資は良くも悪くも街の人口構成に大きく依存します。学生が多ければドミトリーの需要が高いでしょうし、30 ~ 40代のファミリー層が多ければ広めのアパートの需要が高くなるでしょう。街の特性によって不動産投資の方針も大きく変わってくるので、どういう人が住んでいるのかを知ることはとても重要です。
今回、投資対象としてのヴロツワフ(Wroclaw)市に注目してみます。ポーランドでは4番目の規模で、とても活気のある美しい都市です。ですが、日本で生活していく上では全くと言っていいほど接点がない都市とも言えます。幸い、ポーランドは国の統計データがWebで簡単に手に入ります。なので、今回はその統計データを読み解いて、ヴロツワフの人口構成をリサーチしました。結論から言ってしまうと、なんと人口の20%以上が学生という驚きの結果でした。以下では統計結果を詳しく読み解いてみようと思います。
過去の連載はこちらからどうぞ。
ヴロツワフの都市の規模感を把握するなら、こちらの記事を御覧ください。
もくじ
1. ヴロツワフの学生人口
さっそく、ポーランド政府が提供している統計データを見てみましょう。表の学生数はヴロツワフ市内の学校に在籍している生徒の数を合計したものです。
’15 ~ ’16 | ’16 ~ ’17 | ’17 ~ ’18 | |
都市人口 | 635,759人 | 637,683人 | 638,586人 |
学生数(専門学校と大学) | 150,442人 | 147,661人 | 140,257人 |
都市人口に占める学生の割合 | 23.7% | 23.2% | 22.0% |
学生数を都市人口で割ってみると、驚きの20%超えの数字になりました。専門学校と大学の生徒数なので大半が18 ~ 24才だと思いますが、たった6才のレンジの人口が、全体の20%以上を締めていることになります。参考までに、東京都の人口に占める大学生の割合は8.0%(2015年)です。ヴロツワフの学生数がいかに多いか分かっていただけると思います。
でも、それって一体どういうことなのでしょうか?数年後に学生が卒業したらこのバランスはどうなってしまうのでしょうか?もう少し詳しく調べて見るために、年齢別の人口分布を見てみましょう。
2. ヴロツワフの年齢別人口
2017年におけるヴロツワフ市の年齢別人口統計を見つけたので、票とグラフにまとめました。
年齢 | 人口 | 割合 |
合計 | 638,586 | 100.0% |
80 ~ | 34,987 | 5.5% |
75 ~ 79 | 19,801 | 3.1% |
70 ~ 74 | 26,104 | 4.1% |
65 ~ 69 | 44,590 | 7.0% |
60 ~ 64 | 47,938 | 7.5% |
55 ~ 59 | 38,387 | 6.0% |
50 ~ 54 | 32,174 | 5.0% |
45 ~ 49 | 35,897 | 5.6% |
40 ~ 44 | 49,597 | 7.8% |
35 ~ 39 | 60,850 | 9.5% |
30 ~ 34 | 66,436 | 10.4% |
25 ~ 29 | 42,086 | 6.6% |
20 ~ 24 | 27,016 | 4.2% |
15 ~ 19 | 22,536 | 3.5% |
10 ~ 14 | 26,898 | 4.2% |
5 ~ 9 | 29,197 | 4.6% |
0 ~ 4 | 34,093 | 5.3% |
お気づきになりましたでしょうか??おかしいですねよね??グラフを見る限りは、20%が学生という人口分布には到底見えません。18 ~ 24才という項目がないので正確な数字は分かりませんが、前後の年代から推測すると、せいぜい4万人前後でしょう。仮にこの世代の全員が学生だったとしても、全く計算が合いません。先程の14万人の学生はヴロツワフに住んでいないのでしょうか??
この数字には2つの理由があります。
まず、ヴロツワフは人気の学生都市なので、毎年ポーランド中から学生が集まります。統計結果を見ると、少なくとも10万人がヴロツワフに引っ越して学校に通っていることになります。彼らの大半は実家から離れて暮らすので、賃貸を借りて生活しています。
もう一つの理由は事務的なものです。実は、ポーランドでは賃貸住宅への住所変更の手続きがとても面倒なので、ほとんどの学生は引っ越しても住所変更をしません。なので、10万人の学生の数が、ヴロツワフの年齢別人口には加算されていなかったのです。それを考慮すると実態の人口グラフは、10代後半から20代前半にかけてのボリュームが大きく膨らむことになります。
また、卒業後に就職して結婚すれば、さすがに住所変更はするでしょう。しかし、30 ~ 40代のファミリー層の人口は学生数に比べるとかなり少なめです。つまり、その頃までヴロツワフに残っている人は、あまり多くないということです。
3. まとめ
- ヴロツワフは市民の20%以上が学生
- 18才になるとポーランド中からヴロツワフに集まって部屋探しをする。
- ヴロツワフの学校を卒業すると、かなりの人がヴロツワフから出ていってしまう。
いかがでしたか??ヴロツワフで不動産投資するなら、学生向け賃貸が主な方針になるのではないでしょうか。ポーランドの不動産投資はまだ始まったばかりなので、今後も定期的に更新していきます!乞うご期待くださいませませ。