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ポーランド人との国際結婚は離婚しにくい!離婚率に隠された嘘!

2019/07/23
 
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僕がポーランド人との国際結婚を考え始めた、3年ほど前(2016年頃)の話です。 まさか自分が国際結婚することになるとは思ってもいなかったでの、国際結婚に対する知識が全くなく、 必死になって調べていました。 その中で、一つ気になる数字が目に入りました。


国際結婚の場合の離婚率は70%




ええーーー!?10組中7組も離婚しているの??

この数字を見て以来、僕は国際結婚は続けるのはめちゃくちゃ難しいのだと思いこんでいました。 でも実は、この離婚率には大きな誤解が含まれていました。
皆さん知っていましたか?


10組中7組が離婚していると思うのは誤解なのです!!




つまり、離婚率には実態と乖離(かいり)した値が出やすい性質があるのです。もちろん、誤解の生みやすい情報を発信する側も問題なのですが、受け取り手である僕たちも、データに振り回されないように、リテラシーを上げる必要があります。
特に国際結婚を検討している人や、いま国際結婚をしている人は、日本の中では約3.5%(2017年人口動態調査より)のマイノリティーです。同じ境遇の人に相談する機会も少ないと思うので、自分で調べる機会が多いと思います。データの罠に振りまわされないように、正しい知識を身に着けたいところです。

この記事では、まず 、離婚率が生みやすい誤解について説明します。そして、誤解を認識した上でどのように離婚率を扱えばいいのかを提案した上で、各国の離婚率を比較します。最後にポーランド人との国際離婚の可能性を推定します。


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目次

  1. 離婚率の誤解
  2. 誤解の少ない離婚率の推定方法
  3. 各国との国際結婚の離婚率を推定(←データだけ知りたい人はここから)
    1. 日本全体
    2. 国際結婚の全体
    3. 韓国・朝鮮人との国際結婚
    4. 中国人との国際結婚
    5. フィリピン人との国際結婚
    6. タイ人との国際結婚
    7. アメリカ人との国際結婚
    8. イギリス人との国際結婚
    9. ブラジル人との国際結婚
    10. ペルー人との国際結婚
    11. 離婚率まとめ
    12. ポーランド人との国際結婚の場合の離婚率を推定
  4. まとめ
  5. 参考資料




1. 離婚率の誤解

実は、離婚率にはいくつか種類があって、ニュースなどでよく見かける離婚率の計算には、次の式が使われていることが多いのです。


離婚率 = その年の離婚件数 / その年の婚姻件数




計算方法が簡単なので、安易に使われることが多いのですが、実は誤差が入りやすく、慎重に使わないと誤った解釈をしてしまう危険がある数値なのです。
婚姻件数などの人口動態が毎年安定していれば、離婚する確率と捉えることができますが、 婚姻件数が年によって上下するような場合は離婚する確率とはズレが生じます。


どういうことでしょうか?


これを理解するのには、おそらく、フィリピン人との国際離婚の場合を見てもらうのが一番分かりやすいと思います。



グラフを見ると、結婚件数については2006年にピークが来て2007年から一気に下がっています。 一方で離婚件数は数年遅れてピークが来て、それからゆっくり減っています。
また、2012年〜2015年の間、結婚件数より離婚件数の方が上回っていることがわかると思います。


2012年〜2015年の期間の離婚率を計算すると、100%を超えます。




おかしいですよね??

なぜこんな事が起こるのかというと、計算方法が完璧ではないからです。実はこの離婚率の計算方法には結婚と離婚のタイムラグが考慮されていないのです。
一般的に結婚した年に離婚するケースは少数なので、ある年の離婚件数は数年前の結婚件数と紐付いているはずです。


ここで、もう一度計算式を見てみると、同じ年の結婚件数と離婚件数を割り算していることがわかるかと思います。つまり、異なる性質のデータ同士で計算してしまっているのです。
フィリピン人との国際結婚の場合を考えると、2012年〜2015年の期間の離婚者の大半は、数年前の2005年〜2010年の結婚ピーク時に結婚した人たちなのです。このように婚姻件数が年によって上下するようなケースだと、実態とかけ離れた値が出てきてしまいます

(ちなみに、フィリピン人との婚姻件数の激減の理由は、政治が大きく絡んでいます。政府が興行用のビザ発行に制限をかけ始めたからです。 )



そもそも、離婚率の計算方法がいくつもあるということは、どれも完璧ではないということなのです。この計算方法は毎年の婚姻件数が変わらない場合にはある程度正しいのですが、このフィリピンのように婚姻件数の上下が激しい場合には使えないのです。


2. 誤解の少ない離婚率の推定方法

既知の誤差を含むようなデータを扱う場合には、補正をかけることである程度誤差を打ち消すことができます。
今回の場合は結婚と離婚のタイムラグがあるので、「離婚時の平均同居期間」というデータで補正をかけるのは一つかと思います。


ですが、残念ながらこの「離婚時の平均同居期間」は日本全体のデータしかなく、国際結婚の場合のデータがありません。日本全体のデータで無理やり計算する方法も考えられますが、(というかやってみましたが、)微妙に誤差を消しきれませんでした。この計算結果を鵜呑みにするのは、あまりおすすめしません。




婚姻期間を使えないのであればどうすればいいのか?

はっきり言って、今あるデータだけで離婚率を正確に計算するのは、かなり難しいです。
ですがよくよく考えてみると、婚姻件数の上下が激しくなければ、比較的誤差は少ないと言えます。少しトリッキーではありますが、婚姻件数が安定している範囲内であれば、離婚率はある程度信用してもいいと考えられます。

つまり、

  • 婚姻件数が安定している範囲!
  • 誤差は消しきれない!

ということを認識した上であれば、離婚率の値が使えると考えられます。


3. 各国の離婚率を推定

では、婚姻件数が安定している範囲からおおよその離婚率を推定してみましょう。


3.1. 日本全体の離婚率

日本全体の婚姻件数はおおよそ安定しています。とはいえ、ここ20年で20万組ほど減っているので、実態は計算結果よりも少し低めでしょう。


日本全体の離婚率 = 30〜35%(2005〜2017年)




3.2. 国際結婚の離婚率

結婚件数は2006年ごろまで婚姻件数は上昇しているので、離婚率の実態は計算値よりもやや高めでしょう。そして、2007年ころから急激に下がっているので、2007年以降のデータはほぼ使えないデータです。


国際結婚の離婚率 = 35〜50%(2000〜2006年)
2007年以降は計算不能



3.3. 韓国・朝鮮人との国際結婚の離婚率

2006年ころまでは婚姻件数は比較的安定しています。ですがやはり、2007年以降のデータは使えないです。


韓国・朝鮮人との国際結婚の離婚率 = 40〜50%(2000〜2006年)
2007年以降は計算不能



3.4. 中国人との国際結婚の離婚率

2009年までは、婚姻件数が比較的安定していますが、2010年以降は一気に下がっています。2010年以降のデータはつかえないです。


中国人との国際結婚の離婚率 = 40〜50%(2005〜2009年)
2010年以降は計算不能



3.5. フィリピン人との国際結婚の離婚率

今回扱う国の中で一番極端ですね。データが使えそうなのは2004年くらいまでで、それ以降は使えないです。


フィリピン人との国際結婚の離婚率 = 40〜50%(1997〜2004年)
2005年以降は計算不能



3.6. タイ人との国際結婚の離婚率

安定期間が殆ど無いのでこのデータだけだと離婚率の算定は厳しいです。1992年の時点で離婚件数が極端に少ないので、それ以前にはタイ人との国際結婚は一般的ではなかったのでしょうか。


タイ人との国際結婚の離婚率は1992年以降で計算不能



3.7. アメリカ人との国際結婚の離婚率

アジア系のトレンドと比較するとめちゃくちゃ安定していますね。やはり、外国人というカテゴリーですべてをまとめてしまうのは間違っている気がします。


アメリカ人との国際結婚の離婚率 = 25〜35%(2000〜2017年)



3.8. イギリス人との国際結婚の離婚率

婚姻件数は2010年ころまでは比較的安定しています。2011年以降は婚姻件数が少し下がっているので、離婚率も少し大きめに出ています。


イギリス人との国際結婚の離婚率 = 20〜30%(2000〜2010年)



3.9. ブラジル人との国際結婚の離婚率

2005年以降は婚姻件数が比較的安定しているようです。


ブラジル人との国際結婚の離婚率 = 30〜50%(2005〜2017年)



3.10. ペルー人との国際結婚の離婚率

婚姻件数は比較的安定しているのですが、離婚件数があんまり安定していません。


ペルー人との国際結婚の離婚率は1992年以降で計算不能



3.11. 婚姻件数が安定している範囲での離婚率まとめ

離婚率信頼期間
日本全体30〜35%2005〜2017年
国際結婚全体35〜50%2000〜2006年
韓国・朝鮮人40〜50%2000〜2006年
中国人40〜50%2005〜2009年
フィリピン人40〜50%1997〜2004年
タイ人計算不能
アメリカ人25〜35%2000〜2017年
イギリス人20〜30%2000〜2010年
ブラジル人30〜50%2005〜2017年
ペルー人計算不能



確かに、日本人同士より国際結婚の方が離婚率が高いということは言えそうです。ですが、少しです。70%ではありません!!
また、国際結婚と一言で言っても、アジアや南米の国の人との国際結婚は離婚率が高めですが、欧米系の国の人との国際結婚の場合は、むしろ日本人同士よりも離婚率が低いです。


3.12. ポーランド人との国際結婚の場合の離婚率は?

統計局にデータがないので断言はできないのですが、全体を通して、地域ごとに似たトレンドになっているとも言えます。ヨーロッパなので、イギリスのトレンドに近いと考えるのが妥当で、20〜30%くらいでしょう。


4. まとめ

  • 離婚率は婚姻件数が安定している範囲でしか信憑性がない。だから、離婚率は鵜呑みにしてはいけない!!
  • 2013年の国際結婚の離婚率は71%であるが、このデータも信憑性がない。
  • ポーランド人との国際結婚の場合の離婚率は、イギリス人の場合に近いと考えるのが妥当で、20〜30%くらい




ポーランド人との離婚率は決して高くないです!!

むしろ日本全体の離婚率よりも低いです。間違っても70%ではないので、もし、ポーランド人との国際結婚を考えている人は安心してくださいね。


5. 参考資料



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