「自炊するポーランド人」と「外食が大好きな日本人」
ポーランド人の家に居候し始めて半月が経とうとしています。思い返してみると、この家では外食を全くしていません。たった一度だけ、おばあさんの家に行くときに、時間がなかったのでピザを買って家で食べました。でもそれ以外はすべて家庭料理です。パーティーも何回か参加しましたが、その全てがホームパーティーでした。話を聞いてみると、この家では2ヶ月に1回くらいしか外食しないそうです。
一方で日本人はもっと外食するイメージです。東京で一人暮らしをしていたときは、平日のお昼はほぼ毎日外食でしたし、1週間に2, 3度は夜も外食でした。友人と飲むときも大概は居酒屋でした。
結構違いますよね??ということで、今回はポーランドと日本の外食事情について統計データを元に比較してみようと思います。
日本人の外食事情
日本のデータは統計局が発表している2018年の家計調査を参照しました。データは総世帯を対象としているので、一人暮らしから家族まですべての世帯の平均値です。なお、世帯の平均人数は2.33人なので、おおよそ2人分の食費とも見ることができます。
調査結果
1世帯1ヶ月あたりの食費 = 62,819円
1世帯1ヶ月あたりの外食費 = 11,160円(給食費を除く)
食費の中の外食費の割合 = 17.8%
※「第1表 1世帯当たり1か月間の収入と支出(総世帯)」より。季節によってばらつきもあるので、2018年の12ヶ月分の月平均額を使用しました。調査対象8,319世帯。世帯人員2.33人。持ち家率75.8%。
いかがでしょうか??もちろん自炊をしない独身男性であれば、外食費が増えると思いますし、専業主婦が毎日お弁当を作ってくれるような世帯ではもっと安いこともあると思います。ですが、概ねイメージ通りの数字ではないでしょうか?日本人は1世帯あたり毎月11,160円を平均的に外食費として使っていることになります。食費に占める割合は、17.8%でした。
ポーランド人の外食事情
ポーランド人のデータはポーランド中央統計局が発表している2017年のデータを参照しました。ポーランドの統計データは、世帯支出の一人あたりの支出額です。一人暮らしから家族まですべての世帯の平均支出額を出した後に、構成人員数で割っています。なので、一人分の食費と捉えることができます。
調査結果
1人1ヶ月あたりの食費 = 286.44zł(アルコールと外食費は別項目)
1人1ヶ月あたりのアルコール代 = 15.13zł
1人1ヶ月あたりの外食費 = 47.63zł
食費 + アルコール + 外食費 の合計における外食費の割合 = 13.6%
※「Average monthly expenditures on consumer goods and services per capita in households by SOCIO-ECONOMIC GROUPS」より。調査対象36,655世帯, 97,434人。世帯人員2.66人。
ポーランド人は1人1ヶ月あたり平均47.63złを外食に使っていました。食費に占める割合は13.6%でした。
ポーランドと日本の比較
日本の外食費率は17.8%なのに対して、ポーランドは13.6%という結果になりました。
思ったほど差が無いと思った方は、一つ見逃しているポイントがあります。日本は外食がとても安い国なのです。どこの街でもだいたい牛丼やうどんが400円以下で食べられます。日本人の給料を考えると外食がとても安いのです。
一方のポーランドは給料の水準は日本人よりもかなり安いのですが、レストランの料金はそれほど安くありません。
ビッグマック指数による比較
ビッグマック指数というものをご存知でしょうか??ビッグマック指数とはイギリスの雑誌「エコノミスト」が、各国にあるマクドナルドのビッグマックの価格を指標として取りまとめているものです。これを見ればおおよそのレストランの料金が比較できるわけです。
2019年ビッグマック指数
日本:390円
ポーランド:10.5zł
ではでは、ビッグマック指数を使って、1ヶ月の外食費でいくつのビッグマックを買えるのか計算してみましょう。
1人1ヶ月あたりの外食費をビッグマックで換算すると何個か??
日本:12.3個
ポーランド:4.5個
つまり、日本人はポーランド人の3倍近く外食しているという結果になります。この結果は割と真に迫っている気がします。さすがにこの家のように2ヶ月に1回というレベルではありませんが、それでもかなり少なめです。この家が平均より少ないのは、場所が割と田舎にあるのと年齢なども関係あるのかもしれません。
まとめ
ポーランド人は日本人の3分の1程度しか外食しない。
ということが分かりました。
余談ですが、日本とポーランドの統計をみると、お国柄が出ていることに気づきます。日本の統計では、「アルコール」と「外食」は「食費」という大項目に入っているのですが、ポーランドでは「食費」の大項目には入っていません。「アルコール」は「タバコ」と同じ「嗜好品」の大項目に、「外食」は「ホテル」と同じ「旅行」の大項目に入っています。こういったところからも価値観の違いを感じられます。ポーランド人にとっては「アルコール」はもはや食事の枠を超えているということなのでしょうか?そして、「外食」は食事というよりは旅行的な意味合いの方が強いということなのかもしれません。
もう一つ、聞いた話なのですが、日本ではたまに独身の人に対して「自炊しますか?」という質問をすることがありますが、ポーランドではそもそもこの質問が成立しないそうです。なぜなら、全員自炊をするからです。替わりに、「得意料理はなんですか?」と聞いたりするようです。
参考資料
合わせてこちらもお読みください。
Comment
今ポーランド人の子と付き合っており、2月末から3ヶ月ポーランドに滞在する予定です。
大変参考になる記事をありがとうございます!
コメントありがとうございます!
少しでも参考になれば幸いです。ポーランド滞在楽しんできてください!
一人暮らしならともかく家庭で外食と言ったら、吉牛やマックには行きません。焼肉とかじゃないでしょうか。そうなると会食率は日本とポーランドであまり変わらないかも(一人暮らしは除く)